プロジェクト始動
職場で昼食を食べていると、とある新聞記事が目に飛び込んできた。それは、2013年の8月5日から5回にわたって高知新聞に掲載された特集「人の記憶 海の痕跡」で、684年に起こった白鳳地震により海底に沈んだと伝承される黒田郡について特集されていた。
高知に住んでいながらにして初めて聞く「黒田郡」伝説。
一晩で集落が海底に沈むような地盤の沈下が起こるのか?常識的には考えにくい。何もせずに「あり得ない」と黒田郡の存在を否定するのは簡単である。しかし、きちんとした検証無くして否定することは、東北地震を想定できなかった過ちを繰り返す事になるのではないだろうか。無ければないでもよい。しかし、もしこの伝承が本当だとするならば、必ずまた来る南海地震の際にも同様のことが起こる事を想定して防災対策をせねばならない。
本当に黒田郡は実在したか?どこにあり、いつ沈んだのか?どのような規模の地震が起きたのか?これらの疑問に、考古学的な視点に加えて科学的な視点から応えたいという熱い想いで黒田郡プロジェクトは始動した。